イノアブログ

話し言葉

今朝のラジオで、高校生の陸上棒高跳びチャンピオン(男子)の子が、インタビューを受けていた。途中から耳を傾けたので、話の内容で高校生なのだと分かったのだが、話口調はとても落ち着いていて、社会人かと思うほどである。もう一度よく聴いていると、やはり高校生だ。

 話の内容も立派で、高校生とは思えぬしっかりとした考え、周りの人に対する感謝などを話していた。なぜこの子の話っぷりが大人のように聞こえるのだろう・・・と考えてみると、まずイントネーション。標準的日本語のイントネーションで、今時の若者特有の尻上がりがない。そして、最後に自分で返事をしない。
最近とても気になっていた、自分で自分にする返事、”ハイ”。テレビでよく見かけるインタビューを受けている有名人でも一般人でも、自分で何かを言った後に、”ハイ”と自分で返事?相槌?を言う。若者だけではない、いい年のおばさんも言っている。時におじさんも。あの”ハイ”は何なんだ???

相手が自分の言ったことに賛成してくれるかどうか自信がない、不安、相手が自分の味方でなければ私は傷ついてしまう・・、落ち込む、私一人ではやっていけない、誰か私に賛同して・・・などの思いが、自分でもう一人の人間をつくって、ハイと言わせているのではと、私は分析している。誰かが(それは自分が演じている)ハイと言ってくれると落ち着く、安心できる。そして、私には賛同者(自分で演じている)がいるのだ、「みんなも同じ考えよ」と相手に迫る。
また、自分の中だけで自己満足しているという一面もあると思う。自分で自分に納得している。自分一人で、自分と相手の二役をやっていて、周りの人(や意見)を受け入れる隙間をつくらない。自分の殻の中で、堂堂巡りをしている。ある意味、コミュニケーションが他人と成立していない。
これは、自己の確立がしっかりとできていない表れ、自分という人間=生命の弱さの表れ・・ではないか?この弱さは、自殺者の増加、いじめや不登校、ニートといった社会問題ともなって表れている、と私は思っている。
上がり口調も、相手に同意を求めているという点では同じ。自分の意見をきっぱりと言いきる西欧人、いや東洋でも韓国人も中国人も、これは自己確立の成せる技ではと思う。この話し言葉に垣間見る、日本人の精神的幼稚さを、情けなく、憂うのは私だけだろうか・・・・.